ビスホスホネート製剤のこと。
ビスホスホネート製剤の錠剤(商品名/アクトネル、ベネット、ボナロン、フォサマック、ダイドロネル)は、骨そしょう症の薬なんですが、予防薬としても使用されています。このところ、この薬を服用している患者さんが増えているように感じるんですが、それは今まで「骨そしょう症の薬」には関心がなかったからで、実際は3年前くらいから多く出回るようになっているので、それくらいから服用している患者さんがいてもおかしくないんですね。まして、うちの医院、高齢者が多いんだから。
そういうわけで警戒中です。
そして、いろいろ調べています。
この薬の何がいけないのかというと、この薬を服用している患者さんの歯を抜くなどの外科処置をしたときに「骨髄炎」から「骨壊死」にいたる可能性があるということで。それが発現する頻度も明確になっていなければ、服用している患者さんの歯を抜くときには「では、どうすればいいのか」ということもはっきりしていません。服用をやめてもらってから歯を抜いて、経過観察をして服用を再開するまで数ヶ月を要するかもしれず、それでも骨髄炎になるかもしれない。という、あやふやさ。
とにかく口の中をきれいにしておくことが重要で。
入れ歯などが入っている場合は、あたって痛いところがないように常に注意して、潰瘍などをつくらないようにしなくちゃいけないです。(じょくそう性潰瘍というのは、意外によくできやすく。また、この薬を飲んでいる患者が、潰瘍から骨髄炎になったというケースも報告されているそうです)
以前は注射タイプの薬にだけ頻発しているとかいわれていたのに、いまや経口タイプの錠剤や貼り薬でも発症例があるくらいです。世界中で…。日本では、まだあまり実態がつかめていないようです。
この薬を服用している患者さんに対してのインプラントは禁忌だと思います。抜歯だってしたくありません。骨髄炎になってから口腔外科病院を紹介したって、どうしようもない。そうなってしまったところを根こそぎとるしかできないし、とっても何度も再手術が必要になる、きわめて難治性の骨髄炎をひきおこすのだそうです。抗菌剤などが効かないので、従来の骨髄炎とも違うのだそうです。どういったものか、はっきりとしたことはまだつかめていません。
この薬を処方する前には、口の中の状態をよく調べて、この先抜歯が必要になったりしないかどうかを見極める必要があるというガイドラインがあります。けど、ふつう、整形や産婦人科と歯科は連携していません。骨そしょう症の薬は整形や産婦人科で処方されることが多いようです。
内科と連携している歯科は多いですけど、決まった病院との連携なので、他の病院からの情報などは一切入ってきませんし、こちらから伝えるとしたら「主治医様宛てに手紙を書く」という方法しかないです。電話でというのは、個人情報なのでしないですし、文書にします。
それに、まさか骨そしょう症の患者さんの歯を抜いたらどうのなんて思いもよりません。心臓とか血圧とか腎臓とか肝臓とか脳とかには気を配っていても、骨そしょう症は見すごされやすいです。
ので、飲んでいる薬は、ちゃんと教えてほしいのです。
ほんとに、ほんとに教えてほしい。
あやしい人には尋ねるようにしていますが(ステロイドを服用している人は、予防薬として処方されている可能性が高いです) 高齢の女性にも気をつけています。
スケーリングもSRPは避けたほうがよさそうな気がするんですが、なんともはっきりせず。
あまり知られていないことのほうが問題のようです。
大げさな…とかいう次元でもなさそうです。
薬害問題は厚生労働省の通達を待っていたんじゃ防げないんです(エイズもC型肝炎もそうでした) いまはネットのおかげで海外の情報も手に入りやすくなりましたし、ちゃんと見極めなくちゃなと思います。たとえば、今年(2008年)1月に発表されたアメリカの論文において、ビスホスホネート製剤の副作用として重度の筋骨格痛が発現する可能性があると発表されました。
その可能性については添付文書に記載されているそうですが、医療従事者に見落とされて、また他の病気の症状と誤認されて、疼痛と機能障害が持続してしまう場合があり、この筋骨格痛は、使用開始から数日、数ヶ月、または数年以内に生じる可能性があるのだそうです。
なので医療従事者は、この薬剤の副作用であるかもしれないことを考慮して、筋骨格痛を生じた患者に対して、この薬の一時的または完全な使用中止を検討すべき。と、示唆されています。けれど、このてのガイダンスは、結構、よく変わります。どちらにしろ要観察には変わりないんですけどね。
2004年「日本骨代謝学界」のガイドラインで、ステロイド骨そしょう症の予防薬として「ビスホスホネート製剤」の投薬を推奨しています。ので、医師は「先端医療」の情報として、それを受けて、ふつうに投薬していると思います。産婦人科でも、このビスホスホネート製剤が認可されることを待ちのぞまれていたので(骨そしょう症の薬として) やはり多く処方されています。ここ数年で、ふと気づけば「え?」ってくらい、周囲で飲んでいる人が増えている…。
歯医者にかかるときには気をつけてください。
必ず、飲んでいることを伝えてください。お願いします。