「君の名は。」←ネタバレあり

話題になっていたので暇なときふらっとみにいきました。
シン・ゴジラと同じく賛否両論あるけど、おしなべて高評価だもんで気になっていたんです。
「君の名は。」は「秒速5センチメートル」の新海誠作品です。長編アニメーション。中身がぎゅっとつまってるので、たった107分とは思わなかったです。もっと長く感じました。
出だしから美しい。そこからOPがはじまるので、映画館ではなくてお茶の間にいる気持ちになりました。
歌うようなモノローグにつづく映像と音楽には鷲掴みにされました。
新海さんの描く美しい日本の景色は「秒速5センチメートル」でも感じたけど、ほんとにきれいなんですよね。

山深い町で暮らす女子高生の三葉(みつは)は、ある日、男の子になって東京で暮らしている夢を見る。一方、東京で暮らす男子高校生の瀧(たき)も自分が田舎町の女子高生になる夢を見ていた。繰り返される不思議な夢、抜け落ちている記憶。「もしかして、入れ替わっている!?」 気付いた2人は、お互いの携帯にメモを残し、その場を乗り切っていく。やがて出会う事のないまま打ち解けていくが…。(公式サイトより)

コミカルにはじまり、シリアスに向かう。

ど田舎に住んでる神社の娘「三葉」 名前がかわいらしくて、おばあちゃんが「一葉」 おかあさんが「二葉」 主人公の女の子が「三葉」その妹が「四葉」 「葉」は「は」と読みます。古今和歌集の小野小町の歌が着想のひとつだったそうなので、この「葉」のつく名前もそこからきているのかなぁと思いました。

「古今和歌集」 小野小町
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを
(意訳) 恋する人のことを考えながら寝たら夢に見ちゃった。けど、目覚めたら夢だと知ってがっかり。夢だとわかっていたら目覚めなかったのに…!

その人の夢を見たときに相手が自分に会いたいと思っているのだと解するのは、平安時代じゃなかったけ。なんかそんなようなのどっかで読んだような気もするんだけども、この映画では、夢のなかで相手の体をのっとっちゃってるので、会いたいとかそういうのとは別問題でしたけども。
入れ替わることで、ふたりは互いの友人を知り、互いの家族を知り、互いの生活を知る。
都会ぐらしの男の子。田舎育ちの女の子。
共通点として、ふたりとも母親がいない。
女の子は神職の家に生まれていて巫女をしている。

映像のなかに伏線が散らばっていて、ここに繋がるのか!という驚きがある。

田舎と都会。伝統とハイテク。過去と現在。
「いま」だと思っていたのに「いま」じゃなくて、過去だと思っていたことが「いま」になる。そして、つながる。仕掛けが施されていて、それが解き明かされていく過程が面白かったです。リピーターが多いのはその仕掛けを確認したい気持ちがするから、かも。

以下、物語の核心を含むネタバレしています。
この映画はネタバレするとあまりよろしくないので、少しでも見ようかなと思ってる人は読まないでくださいね。


この物語は神職にあった宮水家が代々受け継いできた伝統儀式が功をなすという神がかりな出来事がベースにあります。代々この家に育った長女にそなわっている特殊能力です。遠く離れたところにいる異性と入れ替わることができるというもの。でもそれは夢のように儚く、目覚めるごとに夢(特殊な現実)の記憶は薄れていきます。一番失われやすいのは「名前」のようでした。
互いに経験し、互いに友情を深め、互いに恋をする。
よく知らない相手、だけど。その相手の境遇ごと恋しくなっていく。出会い系とかメル友とか類似なものはありますね。作中でも瀧の友達がそういってましたけども。
三葉の幼なじみも瀧の友人もいい人ばかりです。とくに三葉の幼なじみは三葉を信じて犯罪まがいの手段をとることにも臆さない。いや、びびってたけど運命を共有することに臆さないところがよかった。高校生だからこそ、かもですが。

三葉とその父親との関係もよかった。父親が神職から離れようとした理由が、妻である二葉を失ってしまったからで(神に祈ったって何の意味もないと思ったんだろう) 政治家になった父親に反発する三葉の気持ちもわかる。そんな三葉がどうやって父親を口説き落としたのか気になるんだけど、結果として、神託(三葉)と現実的な力を行使できる町長(父親)が手を結んだことで、町が助かる。ラストまで、それでどうなったんだよとひやひやさせられるけど、OPで成長した三葉が出てくるので、きっと死なないんだろうなと思いながら、でも町は助からなかったのか、どうなのか、他のみんなはどうなのかとラストまで気が抜けませんでした。

入れ替わっていた互いの一日のなかで日付を確認するような出来事が皆無ってのはどういうことなんだとか思わないでもないけど、互いに「いま」だと思っていたのに、実は三年のタイムラグがあった。その三年の差があるがゆえに連絡をとろうとしても互いに連絡がとれず、町の景色だけではそこがどこかわからず、特定するために覚えているかぎりの景色を頼りに、探す。そしてその町が、過去、隕石が落ちて消滅した町であることを、瀧は知る。自分が入れ替わっていたのは、過去その町で暮らしていた高校生の女の子だとようやく知るのです。
瀧がお守り代わりに手首にずっとまいていた組み紐。
代々組み紐を紡いできた宮水家。
それがふたりを結ぶ絆になる。

災害によって親しい人を失った人にとっては「夢物語すぎて共感できない」部分だと思う。この町の人たちは、代々伝統儀式をつないできて「口噛み酒」をご神体に奉納してきた宮水家のおかげで(その儀式を茶化したりする若者が増えていたというのに)助かることができた。そもそもそのご神体は1000年前に隕石が落ちた場所にある。なぜこの町に隕石が落ちやすいのか。津波のほうがわかりやすかったと思うんだけど、そこはファンタジーとして。実際オープニングの宇宙から隕石が落ちてきて雲海をつきやぶって落ちていくシーンは幻想的で美しかったし。あるいは、想像すらできないほどの災厄が突然降りそそいでくるかもしれない。自然災害として言い伝えのある土地は日本各地にある。山津波、津波、この先に家をたてるなとか、いいつたえの童歌とかに残ってはいても、その教訓は時をへると風化して、誰も気に病まなくなってくる。それに対する警告も含んでいたように思う。

個人的に。
かといって「キュンときた」とか「感動した」とか「泣いた!」とはいえないんですが、散らばっていたピースがカチッカチッと音をたててハマっていくような爽快感がありました。みてよかったです。とくにオープニングは必見です。
あと神木くんの声もよかったですよ。

それから私は気づかなかったけども、新宿駅に京浜東北線が乗り入れてるのはおかしいだろうとか、彗星の軌道がおかしすぎてツッコまずにはいられないとかあるようですね(笑) でもそんなの医療ドラマ見て、ありえねぇ!とうっかりつぶやいちゃう医療関係者とか、その運指法ちがうから!と指摘したくなっちゃう音楽関係者なんかといっしょで、フィクションだからよいのではないでしょうか(でも新宿駅に京浜東北線ってのには何か意図するものがあったのかなとは思わずにはいられない)

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