「秘密 THE TOP SECRET」←超ネタバレ

原作を愛読中なので、原作ネタバレを含みます。お気をつけください。
長いです。ところどころ敬称略してます。

脳内捜査(記憶の映像化)で事件を暴く----それは絶対知られたくない「心の秘密」も暴いてしまう。
「るろうに剣心」を超える最高傑作誕生! 大友啓史監督最新作! 

映画版。生田斗真が薪さん役。というだけで「ぇ、イメージ違いすぎるんだけど」と思っていたものだけど、鑑賞していて思った。鈴木役の松坂桃李のほうに薪さんやらせたらよかったんじゃね?と(背丈的にアウトだけど、それいったら生田斗真もチビとはいいがたい)
もしくは神木くん。佐藤健。
薪さんはアラフォーだけども見た目は学生さんだから実年齢関係ないし。
「Memory」誌上で対談中に「生田斗真さんと聞いたとき、ちょっと違うんじゃないかと思った」と清水玲子さんも認めてるけど(もちろんそのあとに肯定的な発言が続いてましたけど) 監督さんは「ただ外見だけ美しい役者なら他にもいるけれど、薪のような重責をかかえる人物にはそれ相応の深みが必要で、その点でも(生田斗真が)自分のなかで浮上した」というようなことを語ってました(読み返して一言一句を並べたいけど、それやると出版物なんたらにひっかかりそうだから記憶だより)←ただ面倒なだけ(本音)

でもこの原作を映像化するにあたって重要なのはソコですよ。
薪だけはビジュアルで選んでほかった…!(生田斗真ファンの人にはごめんなさい)
エキゾチックな美形なのは合ってるんですけどね…。

シャツの下に何か着こんで首を覆ってるから余計に首が太く見えるし、下に防弾チョッキを着こんでる設定だからかスーツがパツンパツンにシワ寄ってて後ろ姿が美しくないし、そもそも防弾チョッキを着てるとか首を防御しているとかその理由も含めて劇中での説明がなかったので、どうしてこんな格好してるの?という疑問がわきあがるばかり。

原作知ってると、ああ、頭以外で殺されないためだよね。
自分の秘密は隠しておきたいんだもんね。
とか、思いあたるわけだけど。
原作の薪さんは、べつに首は隠していません(そこはリアルにしたかったのか?)

近未来サスペンス。じゃないしね。
近未来じゃなくて、パラレルだから。SFだから。
まったく次元の違う世界のお話です。
いまの未来ではなく、別の次元の世界のお話。
史実が違うし、制度も違う。だから舞台は日本だけど私たちの知ってる日本とはちがう。

内容は、簡単にいうと「刑事もの」です。
被害者あるいは加害者の脳を物理的にスキャンして映像化することで「何があったのか」を知るという、日常的なプライバシーに踏みこむ捜査法を確立するために奔走する男(たち)の話でもあります。捜査方法が特殊なので警察内でも異端視されている部署が「第九」 その「第九」の室長が薪警視正です。アラフォーで警視正ってありえないんですけど。というツッコミは、飛び級が常態化している異次元日本でのことなのでスルーしてください。
映画では「近未来」設定だったので、将来的に「そうなるのね」でいい感じ。ただ映画でも西暦○年という具体的な表示はなかったような気がするし、その世界観がバラバラだったので(近代的な壮観なのに大自然あったり。スラム街みたいなアジアンチックな「ここはどこ?」な景色もあったり、死刑の方法が絞首刑ではなかったり、なんとなく日本ぽくない印象も受けるので) 違和感があって妙な感じにはなるかもしれません。 

さて、原作との違いを考えるのは無粋です。こういった実写化ものは原作とは切り離して「別もの」として楽しんできたし、この映画も、その映像美には感動した。けれど、それ以上に感じたのは、原作を知ってるがゆえにあんまりにもあんまりな気持ちになって「ええええ」の連続なんだけど、どうしよう?という焦りのようなものでした。

思いついた順に違いを列挙してみます。ネタバレありです。
左が原作。→右が映画。

青木(岡田将生)
キャリアだけどみずみずしいほどの新米さん。→キャリアのエリート捜査官で経歴も輝かしい新人さん。
薪警視正に全幅の信頼を寄せる犬っころ。→とくに強い印象がないほどの距離感なのに薪警視正のお気に入り。
家族を殺されるのは「第九」で働いてから。→家族を殺されたことで「第九」に入ることを目標にしていた。
父親は病死。→父親の介護をしている。

薪(生田斗真)
部下にいいたいほーだい嫌味連発。頭の回転が速い。→部下に怒鳴り散らすような性格ではない。

MRI捜査のしかた。
脳が保存されていればいい。死体ごと冷凍しておく必要性なし。→死体は冷凍保存。捜査官の脳を経由して映像化するため捜査官の負担が大きい。あれなら捜査官使わないで囚人とか使えよとか思うし。

第九。
セクションとして存在している。疑問視されている一番の理由は第九の捜査官が凶悪連続殺人犯の脳を見たために精神に支障をきたして自殺したり、あげく正当防衛とはいえ上司が部下を殺害するにいたったことに対する懸念が大きいから。(つまり薪室長は監視対象になっている。またこの事件は公然であり秘匿されていない) 「第九」の成果は評価されているため「第九」預かりになるのは猟奇的な事件が多い。→「第九」は捜査機関として確立しておらず、捜査してもまっとうには扱われていないもよう。薪が過去に親友である部下を射殺したことは現在の部下たちには「秘密」になってるぽかった。

他キャラも名前だけ同じで別人とか、キャラ設定の違いはことごとくあります。たとえば雪子さんは青木に向かって「剛くんは私の婚約者を殺したのよ」なんてことは絶対にいわないキャラだし、天地はあんなに有能な部下ではないし、暑苦しいほど熱血な叩き上げの刑事はいない。あえていえば岡部がそうだったけど、薪室長の片腕ともいっていい存在になってるし岡部は空気みたいな存在として映画版のなかにもいたから、性格だけ別キャラに移行した感じ。
あと暑苦しい熱血刑事が口走る言葉の大半を、原作では青木がいっている。
つまり映画版のオリジナルキャラは過去の岡部+青木のセリフを組み合わせたみたいになってました。このキャラ必要だったのかな?と感じたキャラは他にもうひとり。リリー・フランキーが演じたダークっぽいカウンセラーです。

でも細かなところは短時間でまとめるために必要だったとして。
どうにも首を傾げてしまったのは、青木の設定です。
このシリーズの根幹を覆してしまうほどの「違い」でした。とくに青木の家族が薪と知り合う前に惨殺されていたという設定。約2時間の映画でキャラに肉付けするにはこの設定が必要だったのかもしれませんけども、この設定のせいで「青木の家族を殺した犯人は結局わからずじまい? いったいなんだったんだ、あの設定」と原作を知らない人に疑念を抱かせてしまうことになっちゃってます。そうでなくても中途半端な感じは否めません。
あそこはそのままにしてほしかった。むしろ青木の家族はふつうの家族のほうがよかった。
実際、第九に勤務したとき青木の家族はごくふつうの一般家庭だったんだから。そんなあたりまえの家族にふりかかる惨殺事件だからこそ衝撃的であって、痛いんですよ。
原作では、あの惨殺事件はこのシリーズの最終話に通じる要の事件でした。
青木が第九に配属されなければ、薪に出会ってなければ、薪にまるで家族のように思われていなければ発生しなかった事件だったんですから。もちろん犯人は明らかになっているし、国家的な機密にもつながってました。
それこそ薪が脅迫されるほどのトップシークレットでした。
だからこそ薪は防弾チョッキを身につけて「殺すなら頭を撃て」というのです。
自分の脳にある機密を誰にも見せたくないがため、です。
そして薪はだからこそ家族や大切なものをつくらないようにしている。
でもそうはいっても大切なものはできてしまう…という苦しみやせつなさがあったりするのです。

原作を知らなければすんなり見れたのかもしれない。ふたつの事件が平行していたり過去と現在がいったりきたりするのでわかりづらいかもしれないけど、それはそれとして受け入れられたかも。
でも、絹子はなぁ。絹子の造形は貝沼と絡ませたがために、よくわかんなくなっちゃってたなぁ。あれだと、結局、絹子は、ふつうの子だったのかサイコパスだったのか、なんであんなふうになっちゃったのかわからないままですよね。

映像は美しかったです。
とくにラストシーンで流れる映像は、原作で見たときから映像として見たかったから、見れてよかった。犬の視点で見た美しい世界の記憶。そこに映りこんでいた絹子が、ふつうの女の子っぽく笑ってるのを見た時は、つまり貝沼に影響されなければ素直そうなふつうの女の子だったんだよということなのかと思ったけれども。

原作では絹子と貝沼につながりはありません。

絹子がああなってしまった原因は死刑囚の父親にあります。父親もそれを悔いているからこそ絹子のかわりに絞首刑に服すのだから(原作では絞首刑、映画では薬だか電気だか絞首刑じゃなかった)
そこが描かれていないから、絹子って、結局なんだったの?ということになっちゃう。
絹子は絶世の美少女です。映画版はエロスのほうがまさってる感じだったけど、儚い感じの美少女です。なにせ清水玲子さんの絵ですから(笑) ちょっと気が強い。けど、きれいな少女です。
ただ異性を憎んでいます。父親から受けた性的虐待のせいです。
映画版では絹子が誘ってるみたいになってました。

この映画。最初にどぎつい性暴行の事件が被験体になってるので、仰向けに無造作に全裸で仰臥している女性の姿がなんともいえず、むごいです。そのまわりにモノを扱うように群がる検視官はともかく刑事がいて、被害者のプライバシーもへったくれもなく体に残っている事件の証拠についてしゃべったりする。そしてその女性の脳をつかって記憶を映像化し、その生々しい事件の様子が画面に大写しにされるのですよ。すごい技術だけど、これはいやだわぁと素で感じた。
この導入部だけで、あれ、これ、こういう映画なの!?ってびっくりした人いると思う。

PG12になってるのは、この酷さのせいか。

清水玲子さんは絵がきれいなのでごまかされてしまうけど、描かれていることはいちいち酷いです。この映画を見て、ん?と思った人は、漫画がきらいでなければ、とりあえず1巻だけでも手にとってほしいな。基本、1巻ごとの読み切りなので読むの楽ですよ。最終話に向けた9巻から12巻だけは続いてますけど、ほかはその巻で事件は解決しています。だから巻ごとに本の厚さが違う^^
おもいっきりネタバレしといて何じゃですけど、ネタバレされたうえで読むのもオツですよ…!

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