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「母と暮せば」←ネタバレ

母と暮せば。これ最初に文字打った時は「暮らせば」って出るのが先だったのに、いまだと「暮せば」がふつうに出るんですよね。どっちでも日本語的には正解なのかな。吉永小百合。二宮和也主演。山田洋次監督。
これは井上ひさしの舞台劇「父と暮せば」のオマージュ的作品なので、映画のエンドロールで「井上ひさし氏に捧ぐ」と出ます。父と暮せばの舞台は広島で、今作は長崎。原爆つながり。
原爆で亡くした息子がふいに幽霊として現れて会話をするお話。
息子には婚約者がいて、その婚約者を黒木華が演じてます。
黒木華は主演キラーで有名ですが(主演をくっちゃいます。相手役が男だろうが女だろうが関係がない。最近では「天皇の料理番」ですね) 今作でも観る人によっては、黒木華の演じた町子さんに目がいっちゃう人もあったかもしれないけど、私は二宮くんのほんわりした雰囲気が好きなので、そうはならなかったですよ。吉永小百合は存在感あるし、やっぱりうまいです。
町子さんを頼りながらも、いつまでも死んだ息子に義理立てすることはないのよと突き放す母親役。

以下、ネタバレ。

この映画は観ようによっては、とってもホラーです。
ちょっとまえにみた「岸辺の旅」も死者と会話する話だったから、続けざまに似たのみちゃったなぁと思ったけど、内容はまったく違います。違うのに、どこか対照的に感じた。岸辺の旅は、奥さんに「生きろ」といいに来たような印象を受けたけど、母と暮せばは「つらかったらおいで」と誘ってるような印象。いわれてみれば、この息子(浩二)が幽霊として現れてから、母親は息子の姿をいつも探してしまうようになってしまったし、息子のことを想ってくれている町子さんを息子のためにも突き放さなくてはと躍起になることになり、闇市のものをせっせと運んでくれていたおじさんに「もう来ないで」といってしまうことになる。←おじさんはこの母親の伸子さん(吉永小百合)が好きなんですけどね。それを息子が「やらしいなぁ」とか「闇市のもんはもらっちゃいけん」とかいって避けさせるんですよ。だからこれ、息子が、母親を孤独にさせたあげく、連れてっちゃう話にも思えるんですね。
私には、ひとりじゃ寂しいだろうから連れていったように見えたんだけど。
そうとも見えるなぁと、あとから友人の感想を聞いて考えたりもしました。
印象に残っているシーンは3つ。
町子(黒木華)が列車で暑いなかを生徒(本田望結)を連れてその父親の消息を尋ねに役所へ向かうシーンとその過程。
久しぶりに来た町子が婚約者の黒田先生(浅野忠信)を連れてきたあと、伸子が本音を吐露するシーン。
母さんはもうこちら側にいるんだよ。と、浩二がささやくシーン。
3つめを聞いたときは、背筋がぞくっとしました。

町子は原爆の落ちた日に具合を悪くして休んだがために命が助かった少女でした。だからずっと心に呵責があった。生き残ってしまった自分を責めてきた。それを知っている伸子が、いざ町子が他の男と結婚したと知ると、こんなこと思っちゃいけない。わかってる。けど、なんであの子だけが幸せになるのと顔をゆがませる。でもこれは母として当然の感情だなと思った。
同じように「うちの子もあんたみたいに休めば死なずにすんだんだ」と傷心の少女に向かっていってしまう母親も、母としては当然だと思う。そう、助かってよかったわね。とか、結婚したのね。幸せになってね。おめでとう。とか、いえたとしても、心からそう思えるわけがない。と、思います。

んで、この映画。終盤に宗教的な映像がいきなり出てくるので、あれ?とも感じるんですが、祈りの長崎ですから、広島とは様相がちがうのも当然だなと思いました。戦争とか、原爆とか、戦後の混乱とか、食糧不足とか、そういうものは背景としてそこにあって、日常のひとつになっていました。若者があたりまえに夢を見ることができなかった時代。医者になろうとしていたのは「軍医ならそうやすやすと戦場で死ぬことはないだろう」という理由だったのに、授業中に一瞬にして命を奪われてしまった。その瞬間の光の映像も、ちょっと怖かったです。
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