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「遺体」

どうしよう。見る? でもきっと痛いよ。泣くよ。でもやっぱり見なくちゃいけない気がする。見ておこうか。覚悟を決めて。そうしよう。うん。そんな会話をかわして友人と観にいった映画です。
つくられたものだけどセンチメンタルじゃない。そこにあったのは現実で、淡々とした映像で、ドキュメンタリーでもない。実際の映像は何ひとつ挟みこまれていない。衝撃的な地震の瞬間、津波の様子などは、まったくない。だけど、ずっと、何かしら涙がとまりません。
いろんな世代、いろんな立場の人が見ても、何かしら共感できる映画です。
3月11日14時46分を境に変わる日常。電気がつかないからテレビもラジオも情報を発信しない。何があったのかわからないけど、何か大変なことが起きてしまった。それまで市民の日常的なほのぼのとした苦情なんかを受けつけていた役所の女の子が遺体安置所にまわされる。町のお医者さんや歯医者が検案や検歯のためにきてくれないかと要請される。民生員の相葉さんは自ら遺体安置所となった廃校(中学校)に出向いて、泥だらけになった校舎とそこに雑然と置かれている遺体をみて「なんだこれは」とつぶやいたりする。隅っこで茫然と立ち尽くす職員たち。津波がきて海側が呑みこまれてしまったことはわかってはいても、遺体が次から次へと運びこまれてくる現実。その遺体を運んでくる市の職員、自衛隊員、警察関係者、みんな無言です。母親がどうして娘を助けてくれなかったんだと職員を責めるけど、どうして自分だけが助かってしまったのかと自分を責めているのがわかる。葬祭関連に勤めていた相葉さんは、死後硬直した体は筋肉をほぐせばやわらかくなるんだと、閉じない口は閉じるし、ゆがんだ顔は元に戻るし。お化粧すればきれいになるんだと、ひとりひとりに声をかけて、ものいわぬ遺体を人としていたわりつづけるんですが、あれは、もし、そこにいるのが自分の身内だったら、知人だったら、きっとしていることなんですよね。こんなところにいたんだね。時間がかかっちゃってごめんね。寒かったでしょう。うちに帰ろうね。遺体をものとして扱わない死生観というか。だから発見した遺体も積み重ねたりしない。効率がとても悪くても重ねないんです。
みながら現実問題として遺体を発見したら身元確認してそのあとは火葬して埋葬するものなんだけど、それがスムーズにいかない日常のなかで、そういったことに全力をつくした市の職員やボランティアや派遣された人たちや葬儀社の人、火葬場の人などがいたんだなぁって。お棺だってあたりまえだけど事前に用意してあるわけじゃないんだし。これは記録映画なんだと思った。そのとき現地にいた人が目にした光景で。だけど、メディアの記録としてはあまり残らなかった映像なんだそうです。役者さんには自由に演技してもらったのだとプログラムには書いてありました。だから台詞とか動作とかはアドリブも混じっているそうです。市の職員の女の子を演じていたのは志田未来さんなんだけど、志田さんは泣きの演技がうまくて、だけど泣く瞬間には背中を向けちゃうんですよね。ずっと落ち着いていた歯科助手も(歯科衛生士かと思ったけど、歯科助手だった)知人の遺体を見て、張りつめていたものが切れたみたいに声をあげて泣いた。相葉さんを演じた西田さんは、遺体のあるところに土足であがることができなくて、靴を脱いで、ずっと裸足でいた。食べるものがなくて、米もない。ぴんぽん玉みたいなおにぎりが貴重な食料だったり。なんだか戦場みたいだなと思ったとき、原爆が投下された広島はどうなふうだったんだろうかと飛躍したことを考えたりしました。
まだ終わってないよね。まだ、たった2年なんだし。これからも起きるかもしれないし。明日にも我が身に起こることかもしれない。舞台が釜石だったので。震災前に訪れたことのある町だったので。宿泊したホテルもちらっと映っていたりしたので、よけいに。震災がおきる前だったので、辛口なことを書いちゃってるけど、ホテルのお兄ちゃんにはとても親切にしていただいて、駅まで送ってもらったりしたんですよね。いまサイトを確認したら、復旧に向けて工事中で、別館は営業してるって…! すごい。よかった…

ちなみに、当時の日記は、コチラ。
宿の運転手さんにはほんとによくしてもらったんですよ。ことごとく閉館とか休業とかしていたので運転しながらあの橋はどうとか要所案内してくれたりして。あのときはほんとにありがとうございました。ご無事かなって心配していたら、釜石市を撮影した個人の動画のなかに姿を発見して(ホテル前で掃除してた)ほっとしたりしたのも、2年まえのことなのか…。

釜石のホテル(陸中海岸グランドホテルです)の部屋から見た港の景色。
写真があったのでアップしておきます。

kama02.jpg

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朝の景色。ホンモノはもっと綺麗。 ↓

kama03.jpg

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